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2010/7/4
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消滅時効Q&A6消滅時効Q&A>消滅時効Q&A6消滅時効完成後の強制執行(差押)
消滅時効の改正について詳しくは「消滅時効/民法改正後の消滅時効」 消滅時効Q&A消滅時効に対してよくある質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。
Q6 私は、借入か返済のどちらか遅いときから5年以上経過しています。 A ※本Q&Aの事例は、原則貸金業者や会社からの借り入れ(消滅時効期間は原則5年間)の場合を想定しています。 差押命令は、消滅時効の完成猶予および更新(根拠:民法148条 差押手続き終了時から更新となる)の事由ですが、差押命令が発令されるには、債務名義と言って「債権が確かに存在することを公に証明した書面」がないとできません。
具体事例でみていきましょう。 Aさんは2010年5月1日Z社から20万円を借りました。 返済期日は2011年3月1日です。
その後、借入も返済もしない状態が続きました。 その後、Aさんは住所を移転しましたが、住民票は異動せず、Z社にも通知しませんでした。 Q5 で解説したように、Aさんの知らない間にZ社が訴訟を提起して欠席裁判で判決がとられました。 その判決を債務名義(※1)としてZ社が強制執行手続を行った場合ですが、Z社が調査等によりAさんの預金口座等の財産資産を把握した場合にはAさんの財産資産に対して(強制執行手続により)差押がされることがありうるのです。 Aさんにとっては、突然のことですが、自分の知らないうちに差押されるというのは以上のようなケースが考えられます。 また、差押自体も「消滅時効の完成猶予および更新(差押手続き終了時から更新となる)事由」となります。(民法148条) Z社が強制執行の申立をした時点が完成猶予となるのですが、その手続が所期の目的を達することなく取り消されたときは、取り消された時から6か月間は時効が完成されませんが、更新(時効がいったんリセットされ再び開始されること 旧法の中断)となりません。取り下げられた場合も同様です。
「(差押えについては)申立の取下又は法律の規定に従わないことによる取消によって終了した場合は、その終了のときから6箇月を経過するまでの間は時効は完成しない、(民法148条1項)
差押(強制執行)がされたということは債務名義として(Aさんの場合)裁判で判決がとられていたことが考えられます。 そうすると判決が確定した時点から10年以内にZ社が強制執行の申立した場合は、(リセットされた)消滅時効の(時効期間未満で)完成になっていません。 (確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。民法169条1項)
よってAさんは消滅時効の主張をすることはできません。 しかし、判決が確定してから10年を超えた期間の経過後にZ社が強制執行申立をした場合は、(判決が確定してから10年が経過すると)消滅時効が期間が経過(消滅時効完成の主張が可能)しているので、Aさんは消滅時効の主張(援用)をすることができます。 通常は時効の援用をすることは相手方に援用の意思表示の通知をすればよいのですが、強制執行が申し立てられて執行手続が開始されていた場合は、相手方や裁判所に「援用の通知」をしても、強制執行手続は止まりません。 この場合は、別途「請求異議の訴え」(訴訟手続 民事執行法35条)の申立をしなければなりません。 請求異議の訴えを提起しても終結まで時間がかかり、その間は、強制執行手続は止まらないので、請求異議の訴えで勝訴したとしても強制執行の手続は終わってしまっていることがよくあります。 よって、訴訟と同時に「執行停止の申立」(民事執行法36条1項)を申し立てる必要があります。
Aさんが保有する不動産に抵当権等の担保設定がされていた場合 もし、Aさんが、自分の借り入れ若しくは他人の借入の担保のために保有する不動産に抵当権の設定を受けていた場合で、その抵当権の被担保債権(担保する原因となった借入のこと)が時効消滅していた場合はどうなるのでしょうか? 抵当権者は上記説明した「債務名義」を取得する必要なく、「債務不履行」(債務者が約束の期日に支払いをしなかった場合)等があった場合に直ちに「抵当権実行」をすることができます。
具体的には、担保不動産の強制執行(不動産競売の申立)を行います。 なお、上記は、債権の消滅時効に基づいた手続きですが、「抵当権」そのものの消滅時効を主張援用することができます。そしてその消滅時効期間は20年です。
(旧民法167条2項 この時効期間は民法改正により新民法166条2項に移行されましたが、実質的に変更はありません。 第3取得者とは債務者(債権者からお金を借りた人)でもなく設定者(物上保証人ともいう 債務者ではないが、債務者の借入を担保するために自分の不動産に抵当権を設定した人)でもないそれ以外の人で当該不動産を取得した人のことです。
例えば、Aさんが債務者でBさんがAさんの債務の担保で自分の不動産に抵当権を設定した場合CさんがBさんから当該不動産を買い受けた場合は、Cさんが第3取得者となり抵当権の消滅時効を援用できます。AさんやBさんは援用できません。 ※1 債務名義とは「債権が確かに存在することを公に証明した書面」のことです。
強制執行手続をする際には必要な書面となります。
そして新法では「商事債権の消滅時効(商事時効)」という考え方は廃止されました。しかし新法においても債権者が貸金業者や銀行のような会社組織であれば、権利を行使できる時を知らないはずがありませんので、その場合ほとんどの債権は5年経過により消滅時効が完成すると考えて良いでしょう。 新法では個人以外の場合は、たいてい5年で時効が完成する場合が多いでしょう。個人の場合は、個人債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できるときから10年となります 例:個人間でお金を貸したけれど、返済期日を「借主の出世した日(課長に昇進した日)」と定めていて、貸主が借主の出世した日を知らない場合は、借主が出世した時から10年で消滅時効が完成しますが、10年経過する前に貸主が、借主の会社に電話して借主の出世(課長に昇進)を知った時は知った時から5年となります。)
自分の知らないうちに判決がとられているケースとしてはQ5 をご覧下さい。 もし、消滅時効が完成していると思われていたところ、債権者から請求や訴訟手続を提起された場合は、当事務所にご相談ください。
時効の援用とは
消滅時効詳細 消滅時効について、更に詳しく知りたい方は、「消滅時効 詳細」をご覧下さい。
会話形式でわかりやすく解説しています。
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