Q19
債務整理をした場合にクレジットカードはどうなりますか?
A19
債務整理をした場合に債務整理をしなかった債権者の発行するクレジット
カードを持っていた場合、どうなるのでしょうか?
ケース毎に分類して説明しましょう。
まず、債務整理には「破産」や「再生」等の法的整理手続きと法的整理を
申し立てないで任意で債権者と交渉する「任意整理」とがあります。
「法的整理」の場合は、一部の債権者を除外して行うことができません。
クレジットカードで分割支払のローンが残っている場合や、キャッシングで
お金を借りている場合はクレジットカード発行会社が「債権者」に該当しま
すから、債権者として債権届出を出して、整理の対象にすることになります。
もちろん、そのクレジットカードは今後使えなくなりますし、今後ある一定
の期間は借入やクレジットカードを使えなくなることになります。
法的整理をした場合は「信用情報機関」に一定期間、情報登録されるので、金
融機関は借入の際に「与信審査」で上記情報を参考にするので、貸し出しやク
レジットカードの発行をしないとする判断になるケースが多いからです。
任意整理の場合は、整理対象の債権者を選択して整理できるので、クレジット
カード会社を整理対象から外すことができます。
整理しても(利息制限法上限未満の利息の場合は)減額されない場合や、カー
ドで物品を購入しているがローンが終わっていないのでそのまま取引を続けたい
と希望する場合は整理しない場合があります。
その場合、クレジットカードは以前と同様使用できるのでしょうか?
例えば、A社、B社を整理して、クレジットカード発行会社のC社を整理しな
かった場合、C社の取引約定書を読むと、「破産手続きや再生手続き等の法的
整理をした場合、「一括請求する」とする「期限の利益喪失条項」があります。
この場合は、任意整理が含まれていないので、任意整理をしたからといって「
一括請求」されたり、取引停止をされることはありません。
クレジットカード会社の取引約定書に他の(クレジットカード発行会社以外の
)借入先について「任意整理」をした場合に一括請求するという条項があった
場合、期限の利益が喪失してしまうことになりますが、クレジットカードの約
定書でそのような規定はあまりないようです。
(少なくとも、私の経験上ではみたことがありません)
しかし、クレジットカードで任意整理後に2回以上の分割支払により物品購入
をする場合やキャッシングの利用はできなくなることがあります。
カード決済については私用できるが、「借入」であるキャッシングやショッピ
ングでの分割払いはできなくなるケースが多いので気をつけてください。
また、信用情報機関に情報登録される場合は、整理した場合に残額が残った場
合で、
(例えば、残額が50万円あったが整理して、引き直し計算すると20万円になっ
た。この場合は、「債務整理」という情報が登録される)
整理して残がゼロかゼロ未満(過払金の発生)の場合は信用情報機関には何も
情報は登録されません。(詳しくはA13をご覧ください)
期限の利益喪失特約
金銭の貸し借りにおいて、返済期日までに借金を返さなくてよい(返済請求され
ない)という期限が到来していないことにより債務者(借主)が受ける利益を期
限の利益という。
金融機関が金銭を貸し付ける場合は、ほとんどの金融機関が「期限の利益喪失特
約条項」を契約書におき、借主が返済期日に分割約定金額を返済しなかった場合
に全額を返済しなければならない(期限の利益を喪失するということ)とする約
定の入った金銭消費貸借契約を締結する。
銀行系のカード(銀行窓口で発行したカードや銀行のローンカード、銀行提携の
クレジットカード)をお持ちの場合、その銀行に対して任意整理を行った場合、
提携先のクレジット会社の取引が停止されたり、また提携先のクレジットカード
会社を任意整理した場合、提携銀行の口座が凍結(入出金ができなくなる)され
たりすることがあります。
任意整理をする場合は業務経験・実績が豊富で信頼できる専門家に頼まなけれ
ばいけません。